夜になると落ち着かなくなる。何度も起きる。「帰る」と言い出す。
それは「夜間不穏(やかんふおん)」と呼ばれる状態かもしれません。
介護をしている家族にとって、とてもつらい時間帯です。
この記事では、夜間不穏を医療的な視点と家族目線の両方から、わかりやすく解説します。
夜間不穏とは?医療的な意味
不穏とは、精神的に落ち着かず、興奮・混乱・焦燥がみられる状態を指します。
夜間不穏は、その状態が特に夜間に強く現れることです。
原因として考えられるもの:
- せん妄(急な混乱状態)
- 認知症の進行
- 体内時計の乱れ(サンセット症候群)
- 脱水・発熱・便秘・痛み
- 薬の影響
医学的には、脳が状況をうまく整理できなくなっている状態と考えられています。
家族から見た夜間不穏の様子
実際には、こんな行動がみられます。
- 「帰らなきゃ」と何度も言う
- 夜中に起きて歩き回る
- 怒る・泣く・興奮する
- 「誰かいる」と怖がる
- 急に着替えを始める
家族は不安になりますし、睡眠不足にもなります。
でも本人にとって夜は、
- 暗い
- 静か
- 状況がわかりにくい
――世界が不安になる時間なのです。
なぜ夜に悪化しやすいの?
- 日中の刺激がなくなる
- 疲れが出る
- 夕方から体内時計が乱れる
- 不安が増幅する
認知症があると、夕方から混乱が強くなる「サンセット症候群」がみられることもあります。
つまり夜間不穏は、珍しいことではありません。
まず確認したい体調チェック
夜間不穏が強いときは、まず体調を確認します。
- 熱はないか
- 便秘していないか
- 尿が出にくくないか
- 脱水はないか
- 痛みはないか
高齢者は体調不良が「不穏」という形で出ることが多いのです。
家族ができる現実的な対処法
- 日中に軽い活動を増やす
- 夕方以降は刺激を減らす(テレビ音量など)
- 真っ暗にせず、足元灯をつける
- 否定しない・言い争わない
「帰る」と言われたら、
✕「帰らないでしょ」ではなく
〇「そうだね、明日の朝にしようか」
安心させる声かけが基本です。
受診の目安
- 急に強くなった
- 昼間も混乱している
- 発熱や体調変化がある
- 家族が限界を感じている
医師に相談して大丈夫です。
薬で落ち着く場合もあります。
それは「逃げ」でも「負け」でもありません。
いちばん大切なこと
夜間不穏は、
困らせようとしているのではなく「助けて」のサインです。
そして同時に、
介護者も守られていい存在です。
一人で抱え込まず、医療・介護サービスを頼ってください。
夜が少しでも穏やかになりますように。
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