「最近、同じ話を何度もする」
「約束を忘れることが増えた」
「なんとなく、前と違う気がする」
そう感じたとき、多くの家族はまず、こう思います。
「まだ大丈夫だよね」「気にしすぎかもしれない」
認知症の初期症状は、とても分かりにくく、
家族ほど“見ないようにしてしまう”ことも少なくありません。
でも、早めに気づき、適切につながることで、
本人も家族も、これからの時間をより穏やかに過ごせる可能性があります。
この記事では、認知症の初期症状と、受診を考える目安、
そして家族が知っておいてほしい大切な視点をお伝えします。
認知症の初期症状|「物忘れ」だけではありません
認知症の初期は、単なる物忘れではなく、
生活や気持ちの中の“ちいさな変化”として現れます。
① 体験そのものを忘れる物忘れ
- 同じ質問や話を何度も繰り返す
- 食事をしたこと自体を忘れる
- 置き忘れ・しまい忘れが極端に増える
加齢による物忘れは、ヒントがあれば思い出せることが多いですが、
認知症では「記憶そのものが抜け落ちる」特徴があります。
② 日付・時間・場所が分からなくなる
- 今日が何日か分からない
- 慣れている道や場所で迷う
- 約束の時間を大きく間違える
③ 判断力・段取りの低下
- 料理や家事に時間がかかる
- 支払いミスや金銭管理の混乱
- 服装や身だしなみへの無関心
④ 性格や感情の変化
- 怒りっぽくなる、不安が強くなる
- 意欲がなくなり、外出を嫌がる
- 疑い深くなる(被害的になる)
これは「性格が悪くなった」のではなく、
うまくできない不安や混乱の表れであることが多いのです。
加齢による物忘れと認知症の違い
| 加齢による物忘れ | 認知症の物忘れ |
|---|---|
| ヒントで思い出せる | ヒントがあっても思い出せない |
| 体験の一部を忘れる | 体験そのものを忘れる |
| 生活への影響が少ない | 生活に支障が出る |
受診を考える目安|「今」で大丈夫です
次のような状態が複数当てはまる・数か月続く場合は、
医療機関や専門窓口への相談を考えてみてください。
- 物忘れで日常生活に困りごとが出ている
- 同じ失敗を何度も繰り返す
- 家族から見て明らかな変化がある
- 本人が不安や混乱を強く感じている
「もっと進んでから」ではなく、
「気になった今」が、いちばん動きやすいタイミングです。
本人が受診を嫌がるときの声かけ
「認知症」という言葉に抵抗を感じ、
受診を嫌がる方も少なくありません。
- 「物忘れを相談しに行こう」
- 「体調チェックのついでに行こう」
- 「安心するために一度だけ」
否定せず、安心を目的にした言い方が大切です。
最初の相談先はどこ?
- かかりつけ医(内科)
- 物忘れ外来・認知症外来
- 地域包括支援センター(無料相談可)
受診時には、気づいた変化をメモして持参すると役立ちます。
家族へ伝えたいこと
気づいたあなたは、
決して冷たいわけでも、心配しすぎでもありません。
「早く気づいてしまった自分」を責めないでください。
それは、大切な人を守ろうとする自然な行動です。
認知症は、知ることで、備えられる病気です。
そして、ひとりで抱え込む必要はありません。
この記事が、
あなたと大切な人のこれからの時間を
少しでも穏やかにするきっかけになれば幸いです。
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