◆母を“正そうとする”たびに、すれ違ってしまう
「そんなこと言ってないで!」
「お母さん、それはもう終わった話だよ!」
認知症の母との会話で、思わず“事実を伝えよう”としてしまうこと、ありませんか?
私もそうでした。正しい情報を伝えれば、母が混乱しないと思っていたんです。
◆介護で大切なのは「正しさ」より「安心感」
でもある日、ケアマネさんに言われたんです。
「正しい言葉より、安心できる言葉をかけてあげてください」って。
その一言で、はっとしました。
母にとって必要なのは、“現実”ではなく“心の安全”だったのかもしれません。
医療や介護の世界ではこれを
「セラピューティック・ライ(治療的な嘘)」や
「ユマニチュード(人間らしさのケア)」と呼ぶそうです。
嘘ではなく、“心を守る言葉”。
その言葉が、母の不安を少しずつ溶かしていきました。
◆たとえるなら「おばけがこわい」と言う子どもに
子どもが「おばけがこわい」と言ったとき、
「いないよ!」より「こわかったね」と言われたほうが、心が落ち着きますよね。
それと同じように、母も“安心”を求めているんだと思うんです。
◆“正しい言葉”より“やさしい言葉”を
母が間違ったことを言っても、訂正せずに「そうなんだね」と返す。
それだけで、会話が穏やかになります。
介護の毎日は、思い通りにならないことの連続。
それでも、「正しさ」ではなく「安心感」を選ぶたびに、
少しずつ、母との関係がやわらかくなっていくのを感じます。
◆まとめ:「心を守る言葉」が家族を守る
認知症の母にとって、安心できる言葉は生きる支え。
そして、娘である私にとっても、“諦める”ではなく“寄り添う”という心の切り替えでした。
正しい言葉より、安心できる言葉を。
それが、母の笑顔を取り戻す第一歩です。
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